「Qブックス」(2回目の全集)に収められた作品のうち、

1『固定観念を脱する法』と
15『人の集まる所に金が集まる』は
このシリーズとして新たに登場した本です。
そして24『子育てはお金の教育から』は
このシリーズ期間中に別の出版社から出版され、
そののちにこのシリーズの一冊としても出版されたものです。
また以前に出版された著作についても
『ゼイキン報告』が7『邱永漢のゼイキン報告』へ
『借金学入門』が9『新・借金学入門』へ
『財界の鉱脈』が11『日本で最もユニークな経営者小林三伝』へ
『新説・二宮尊徳』が12『再建屋の元祖 新説二宮尊徳』へ
『新お金の値打ち』が13『人生後半のための経済設計』へ
『食前食後―漢方の話』が14巻の『漢方の話食前食後』へ
そして『海外投資の実際』が20『国際感覚をみがく法』へと
元の本のタイトルが変わり、また一部の著作では
新たな記述が加わえられました。
 

さて、このQブックス25巻の発刊には
通常、全集が発刊されるときに行われるような
大々的なPRはありませんでした。
刊行された本を見ると、Qブックスと表示されているので
いま邱永漢の本がシリーズ形式で出版されているだなと

読者が感じるといった具合の出版でした。 


昭和57年3月から二回目の全集が
日本経済新聞社から逐次刊行されることになりました。

前回の全集は10巻で2冊程度の本が
一巻としてまとめられていましたが、
二回目の全集では1冊が一巻という勘定で、全体が25巻です。

この全集で発行された25巻の本は次の通りです。
 

1『固定観念を脱する法』/2『食は広州に在り』
3『私の金儲け自伝』/4『象牙の箸』/5『東洋の思想家たち』
6『サムライ日本』/7『邱永漢のゼイキン報告』
8『社長学入門』/9『新・借金学入門』
10『節税の実際(最新版)』/
11『日本で最もユニークな経営者小林三伝』
12『再建屋の元祖 新説二宮尊徳』
13『人生後半のための経済設計』/14『漢方の話食前食後』
15『人の集まる所に金が集まる』/16『成功の法則』
17『妻の財産づくり』/18『女の商売成功の秘訣』
19『銀行とつきあう法』/20『国際感覚をみがく法』
21『もうけ話』/22『悪い世の中に生きる知恵』
23『金とヒマの研究』/24『子育てはお金の教育から』
25『変化こそチャンス』
 
最初のトップバッターをつとめた
『固定観念を脱する法』が出版されたのが昭和57年、
最後のトリをつとめた『変化こそチャンス』が刊行されたのが
昭和61年11月と、5年の年月をかけて全冊が刊行されました。 


『ダテに年は取らず』というエッセイ集で
邱はある時期からお金を稼ぐことより
使うことに重点を置くようになり、
これは豊かになってきた時代に“熟年層”に共通する
テーマではないかと書きました。

「50歳をすぎた頃から、稼ぐことと使うことの
バランスを少しずつ考えるようになった。
年に二回、女房連れで欧米旅行をすることも
定期的にやるようになったし、
衣食住の全般にわたって、お金を使うことにも
財布のヒモを閉めるようなことはなくなった。
女房の方でも、『この頃のあなたはケチとは言えなくなったわね』
と風向きが変わりつつあるが、
ケチの尾てい骨が完全にとれてしまったわけではない。
 

たとえば、国際電話の高い料金を払うのはいまだに嫌で、
女房が長電話をしているとイライラして
怒りたくなるのを抑えるのに四苦八苦している。
池田満寿夫さんが、芥川賞を受賞した『エーゲ海に捧ぐ』は、
その料金の高い国際電話を長々とかけ続けるストーリーで、
話の内容や文章よりも先生方のイライラを計算に入れて
かちとったのではないかと思うほどである。
 

また私はフランスの最高のレストランで
豪勢な食事をすることにはなれてしまったが、
ワインリストを見て1000フランなどと値段のついた
高い葡萄酒だけはいまだに注文しきれないでいる。
値段が安くても、フランスのワインには結構おいしいものがあるし、
そのおいしいワインも一通り飲み終えていないのに、
高価なワインに手を出すことはないと言いわけをしているが、
本当はケチの精神が
まだ完全に抜けきっていないのからかもしれない。

が全体としては、儲ける方よりも
使う方に重点が移りつつあることは事実であり、
『お金の使い方』などという本を書いたのも、
そうした心境の変化と関係があるのであろう。

しかしこのことは私一人だけの問題ではなく、
豊かになった社会全体に現われてきた傾向の一つであり、
したがってまた私とほぼ同年代の人々が
等しく痛感していることではないかと思う。」
(「熟年にとってお金とは何か」『ダテに年は取らず』に収録)

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