この本は昭和45年6月から48年3月まで

「東京スポーツ新聞」紙に毎週一回乃至二回、
その当時の経済の動きを頭に入れながら、
一回分が原稿用紙2枚という短い文章で書き続けてきた作品を
昭和48年6月に出版した本です。

この本のあとがきで邱が次のように書いています。

「ふりかえってみると、この2年間は、
日本経済の激動期であった。
貧乏国日本が世界中から金持ちの国とみなされ、
金持ちとしての義務の遂行を迫られ、
2年間に2度も円の切り上げを余儀なくされるという、
歴史はじまって以来の新しい体験をした。
 

物価の動きも、株価の動きも、更に企業や個人の対処法も、
従来の体験になかったものばかりだから、
過去の常識でははかり知ることができない。

この激震は今なお続行中であり、新規の投資事業は、
土地も株も商工業も著しく困難になってきた。
諸物価の騰勢は恐らく半年半ばくらいで
一応の落ち着きを見せるだろうが、事業という点で見ると、
私は日本の産業界は国内的には絶頂を極めたのではないか、
という気がしてならない。
 

つまり今後の日本経済は海外志向型となり、
これからは企業の生産工場を海外に引越しさせるのが
一番目立った経済現象になる時代がやってくる筈である。

したがって私の次に書く本は『海外投資読本』であり、
体験を重んずる私としては既に東南アジアの視察も終わり、
目下台湾で工業団地の建設に着手している。
どうかこれからますます広く海外に目を向けていただきたい」
(『邱永漢のこれからの金儲け』「まえがき」)
 

スポーツ新聞向けの経済評論としては、
この『邱永漢のこれからの金儲け』がはじめてですが、
のちに邱さんの面白くてわかりやすい儲け話が

他のスポーツ新聞紙上でも展開されることになります。