前回掲載した「なぜ固定観念にとらわれてはいけないのか」
と題する一文の続きです。
 

「したがって時代に取り残されたくないと思う人は
頭の中につまった固定観念をかなぐり捨てて、
自らの権威を否定してかからなければならない。
少なくとも私は、自分に対して常に、
『初めからやりなおし』を命ずるような
生活態度を強いてきたので、
どうやら身動きができなくなるほどの
動脈硬化におちいらないですんでいる。

もっとも、自分ではそのつもりでも、
実はズレが激しいということになったら、
『自分はひょっとしたら、ズレはじめたのではないか』
と疑っている人よりは重症ということになる。

この20年間、私は『固定観念にとらわれない』ように、
新しい経済現象、社会現象にとらわれないように、
と努力してきたつもりだが、
ここに集められた最近の文章を読んでみても、
たとえば80年代には、インフレの下で株式が次第に
人気を失っていくであろうことがくりかえし強調されている。
 

一昨年(昭和55年)初めになって
海外から投資が増えるきざしが見えはじめるまでは、
私はそういう考えに傾いていたが、
新しい動きを見て、さすがの私も
『外人の発想によって株式市場が動かされるようになるだろう』
『久しぶりに大型株ブームが到来するぞ』
と主張するようになった。

しかし、『株式投資はやがて衰退するぞ』という記述は
そのまま遺しておくことにした。
日本経済に対する世界中の人々の信頼感は
やっと緒についたばかりで、
やがて本格的名風潮になるはずであるから、
おそらく外人主導型の日本株ブームは、
10年といった長期にわたって続くであろう。」
(『固定観念を脱する法』まえがき)